2025年12月5日更新
結論からお伝えすると、矢崎恭介は原作『推しの殺人』には登場しないドラマオリジナルキャラクターです。
ドラマ版ならではの「未解決連続殺人事件」を動かす黒幕として追加され、増田貴久さん向けの「当て書き」1に近い役だと整理できます。
原作を読んだ人ほど「矢崎って誰。なぜ原作にいないのに、こんなに重要なの。」と戸惑いやすいポイントになっています。
この記事では、公式情報やインタビューをもとに「矢崎はなぜ原作にいないのか」と「ドラマ化でどんな設定が足されたのか」を整理します。
ドラマ第9話までのネタバレを含むので、その点だけ先にご注意ください。
この記事で分かること
- 矢崎恭介が原作にはいないドラマオリジナルキャラだと分かる理由
- ドラマ版での矢崎の設定と、物語の中での位置づけ
- なぜ矢崎という追加キャラが必要だったのか、その背景と意味合い
矢崎恭介は原作にいないドラマオリジナルキャラだった
矢崎恭介について確認すると、原作小説『推しの殺人』のあらすじや登場人物紹介に、その名前は出てきません。
原作は、大阪の地下アイドルグループ「ベイビー★スターライト」のメンバーが、事務所社長を殺害してしまうところから物語が始まります。
三人で遺体を山中に埋め、ばれないように隠しながらアイドル活動を続けようとする、クライムサスペンスです。
原作で描かれる事件の中心は、あくまで「社長殺し」と「その隠蔽」です。
連続殺人事件や、弁護士が関わる別軸の犯罪は出てきません。
一方ドラマ版では、原作の骨格を生かしつつ、「未解決連続殺人事件」や刑事サイドの捜査が新しい柱として追加されています。
この時点で、ドラマは原作よりも事件のスケールが一段大きくなっていると言えます。
さらに、矢崎が原作にいない完全なオリジナルキャラであることは、増田貴久さん本人のインタビューでも明言されています。
「矢崎は、今作のために作っていただいた役で、原作には出てこないんです。」
出典:TVガイドWeb(2025年10月)
このコメントからも、矢崎は原作にいた誰かを置き換えたキャラクターではなく、ドラマ化のタイミングで一から作られた人物だと分かります。
情報をまとめると、矢崎恭介は「原作には存在しないこと」が前提の、ドラマ版専用キャラクターです。
ドラマ版での矢崎恭介の設定・人物像を整理
次に、ドラマ版で描かれている矢崎の設定と人物像を整理します。
ドラマ公式の人物紹介では、矢崎は「三十代後半の弁護士」であり、「河都潤也の大学時代からの友人」と説明されています。
学生時代は同じ音楽サークルに所属し、卒業後も仲の良い関係が続いているという設定です。
現在は、河都の出資を受けて小さな個人法律事務所を構える、「心優しい弁護士」として物語に登場します。
物語序盤では、矢崎は“成功した大人”の側にいながら、柔らかい雰囲気で周囲に接します。
ベビスタの三人や、河都の妻である麗子にとっても、「相談に乗ってくれる頼れる大人」という位置づけです。
視聴者から見ても、「この世界で数少ない、ちゃんと味方でいてくれそうな人」という印象を持ちやすい存在になっています。
しかし、ドラマが進むにつれて、未解決連続殺人事件の捜査線上に、矢崎の影が少しずつにじみ出てきます。
行動のタイミングや、意味深な表情、情報を握っていそうな雰囲気が重なり、多くの視聴者が「矢崎黒幕説」を考える流れになりました。
第9話のラストでは、ついに連続殺人事件の犯人が「弁護士・矢崎恭介」であると明かされます。
心優しい弁護士として登場していた人物が、一転して連続殺人犯だったことが判明する展開です。
この点について、増田さんは公式コメントで次のように話しています。
「矢崎はこの先もいろいろなものを仕掛けていくので、それがつながっていく瞬間を楽しみにしてもらえたらと思います。」
出典:読売テレビ『推しの殺人』公式サイト(2025年12月)
このコメントからも、矢崎は「正体がバレて終わり」の犯人ではなく、「物語全体に仕掛けをばらまいていく存在」として位置づけられていることが分かります。
確認できる情報を整理すると、ドラマ版の矢崎は、表では“優しい弁護士”、裏では“連続殺人犯”という強烈な二面性を持つキャラクターです。
視聴者の信頼を集めたうえで裏切るために設計された、物語のキーマンだと言えます。
なぜ矢崎が追加されたのか?ドラマオリジナル展開との関係
では、なぜ原作にいない矢崎を、わざわざドラマで追加したのでしょうか。
ここでは、「公式に語られていること」と「作品の構造から読み取れること」を分けて整理します。
まず誕生の経緯については、先ほどのインタビューの中で、制作側が「原作にはない役を作り、そこに増田さんを当てはめた」と説明していると紹介されています。
増田さん自身も、オリジナルキャラである矢崎について、「ドラマ版ならではの要素として楽しんでもらえたら」という趣旨で語っています。
つまり公式に分かる範囲では、「原作ファンにも新鮮に楽しんでもらうためのスパイスとして、矢崎という新キャラクターを用意した」という意図があると読み取れます。
そのうえで、脚本と構成を踏まえると、矢崎が必要だった理由は大きく三つに整理できます。
一つ目は、ドラマ独自の「未解決連続殺人事件」を成立させるための“接続役”です。
ドラマ版では、原作から受け継いだ「社長殺しとその隠蔽」のラインに加え、「連続殺人事件の捜査」という全く別のラインが走っています。
さらに、実業家としての河都や、裏社会とのつながりなど、大人側のドラマも描かれます。
これら複数のラインを一本の物語に束ねるには、全てにまたがって関わる存在が必要です。
社長殺しにも、ベビスタにも、河都にも、連続殺人事件にも接点を持てる立場として、「弁護士であり、犯人でもある矢崎」が設計されたと考えると、構造的に非常に分かりやすくなります。
二つ目は、「善意の顔をした大人も信用できない世界」というテーマを強調する役割です。
社長や河都のように、最初から危険そうな大人は、ある意味で分かりやすい存在です。
それに対して矢崎は、誰から見ても“優しくて頼りになる弁護士”として登場します。
ところが物語の中盤以降、「実は連続殺人犯だった」と判明することで、視聴者は「一番信じていた大人が、一番危険だったのかもしれない」と感じさせられます。
これは、アイドルたちが大人に翻弄される構図を、さらに一段ダークに押し広げる効果を持つ仕掛けだと考えられます。
三つ目は、トメとしてクレジットされる増田貴久さんに、物語全体の芯を握る役を用意するためです。
原作にないキャラクターだからこそ、原作既読の視聴者でも展開を読み切れません。
「この先どうなるか分からない人物」をトメに据えることで、ドラマ版だけのサスペンスと驚きを作り出していると見ることができます。
情報をまとめると、矢崎が追加された背景には、ドラマオリジナルの連続殺人事件を動かす軸が必要だったことがあります。
そこに、「優しい大人」すら信用できない世界観を描きたかった意図や、原作とは違うサプライズをキャストの力も含めて生み出したかった意図が重なっていると整理できます。
原作との違い:矢崎ポジションにあたるキャラはいるのか
次に、「原作側に、矢崎に近いポジションのキャラクターは存在するのか」という疑問を整理します。
原作のあらすじや解説を見直すと、物語の中で大きな影響力を持つ大人の男性は、主に二人です。
ベビスタを支配する事務所社長と、成功した実業家として登場する河都潤也です。
彼らは、地下アイドルたちを利用したり、搾取したりする「分かりやすく危険な大人」として描かれます。
一方で、「優しい相談相手として近づきながら、別軸の凶悪事件ともつながっている弁護士」という人物は出てきません。
そもそも原作には、「世間を騒がせる未解決連続殺人事件」自体が登場しません。
連続殺人犯にあたる存在もいないため、そのポジションに矢崎を当てはめて比較することはできません。
ドラマ版では、ここに元メンバーや刑事、マネージャーなどのオリジナルキャラクターが加わり、世界観が広がっています。
そのなかでも矢崎だけが、ベビスタ側にも、河都をはじめとする大人側にも、連続殺人事件パートにも、すべてに顔を出す人物になっています。
確認できる情報では、原作にここまで多層的に物語を横断するキャラクターはいません。
そのため、「原作の誰が矢崎ポジションか」を探すよりも、「矢崎はドラマ版の構造を支えるために専用で作られた新ポジション」と理解するほうが自然です。
矢崎の存在で変わる物語のテーマとラストの意味
最後に、矢崎というオリジナルキャラが加わったことで、物語のテーマやラストの受け取り方がどう変わるのかを考えてみます。
原作小説『推しの殺人』は、社長殺しとその隠蔽を経験した地下アイドルたちが、「それでもステージに立ちたい」と願う姿を通して、罪と欲望とアイドルビジネスの残酷さを描いた作品です。
読後には、「この先、彼女たちはどうなるのか」という余韻を残す終わり方になっています。
一方ドラマ版では、ここに「連続殺人事件」と「連続殺人犯・矢崎」という要素が重なります。
これにより、テーマの焦点が少し変化します。
具体的には、ベビスタ三人の“罪と贖い”の物語に加えて、大人たちの搾取の物語が描かれます。
さらに、「善意の仮面をかぶった加害者」である矢崎の物語が、同じ世界で交わる構図になります。
その結果、「誰が本当の加害者で、誰がどこまで被害者なのか」という線引きが、原作よりも一層曖昧に感じられます。
矢崎は、表では優しく穏やかな弁護士としてアイドルたちに手を差し伸べます。
しかし裏では、もっとも残酷な連続殺人を重ねている人物でもあります。
この二面性が、「頼れるはずの大人が、実は一番危険だったかもしれない」という感覚を、視聴者の中に強く刻みつけます。
さらに、増田貴久さんの持つ柔らかなイメージと、犯人としての狂気の演技とのギャップが、そのテーマをより印象深いものにしています。
情報を整理すると、矢崎の存在によって、ドラマ版は原作以上に「信じること自体が怖い世界」を描く作品になっていると言えます。
そのうえで、最終的なラストが原作と同じ方向に向かうのかどうかは、まだ分かりません。
矢崎がいることで、結末の意味そのものが変わる可能性もあり、そこがドラマ版ならではの最大の見どころになっています。
まとめ
最後に、「矢崎はなぜ原作にいないのにドラマで追加されたのか」をあらためて整理します。
・矢崎恭介は、原作小説『推しの殺人』には登場せず、ドラマ化にあたって一から作られたオリジナルキャラクターです。
・制作側は「原作にない役を作り、そこに増田貴久さんを当てはめた」と説明しており、当て書きに近い形で誕生した“心優しい弁護士”という設定になっています。
・ドラマ版で追加された未解決連続殺人事件の犯人として矢崎を据えることで、社長殺しと大人たちの裏の顔を一本に束ねる“仕掛け人”として物語を動かしています。
・原作には矢崎に相当する人物はおらず、「善意の顔をした大人も信用できない世界」というテーマや、ドラマ版ならではのラストの意味合いを強めるためのキーマンとして追加されたと考えられます。
要するに、矢崎恭介は「原作をそのままなぞるだけでは生まれなかった、ドラマ版『推しの殺人』のオリジナル展開とテーマを背負うための重要キャラクター」です。
原作にはいないからこそ、今後の展開でも“何をしてくるか分からない存在”として注目していくと、ドラマをよりスリリングに楽しめそうです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
- 演劇や映画などで、その役を演じる俳優をあらかじめ決めておいてから脚本を書くこと ↩︎
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